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2025.12.08

  • コラム

試作対応と量産化で変わる“ものづくりの質”

—精密加工メーカーが考える、成功する試作と量産の進め方—

製造業において「試作」と「量産」は、似ているようでまったく異なるプロセスです。
特に近年は製品ライフサイクルが短く、小ロット・多品種が増えているため、試作段階のスピードと精度が企業価値に直結します。

 

この記事では、当社(精密切削加工業)が実際に行っている“試作から量産への流れ”を、現場目線でわかりやすくまとめました。

 

■ 1. 試作対応の本質は「解像度を上げる」こと

試作の目的は、図面に書かれた情報を“現物で検証できるレベル”まで引き上げることです。
つまり、机上の設計を、実際の加工・組立・使用環境で成立させるための作業。

 

● 試作段階で特に重視するポイント

・加工性: その形状は量産で再現できるか?

・寸法・公差の妥当性: 必要なのは本当に±0.01か?

・機能検証: 寸法だけでなく組み立て後の“動き”を見る

・材料の選定: 量産時の価格・調達性まで考慮

・表面処理や二次加工: 工程負荷が高すぎないか

 

試作では、顧客の“想い”を汲み取りながら、加工現場として「本当にこの仕様でいいのか?」を丁寧に提案していくことが大切です。

 

■ 2. 試作段階で発生しがちな課題

実際の現場でよくあるのが次の3つ。

● (1) 図面の曖昧さ

細かい指示が抜けていて、加工現場ごとに解釈が異なるケース。
試作では、図面の穴埋め作業も重要な業務です。

● (2) コストが読みにくい

1個〜数個だと加工条件を最適化できず、どうしても割高になります。
ただし、量産前提なら加工方法を一気に組み替えることも可能。

● (3) 再現性

試作では“できた”けれど、同じ条件で“1000個作れるか”は別問題。
この差を埋めるのが量産計画です。

 

■ 3. 量産化で大切なのは「工程設計」

量産では、次の3つを最優先で設計します。

● ① 工程の安定性

機械選定(CNC自動盤・NC旋盤など)、治具、バイト形状、切削条件を最適化し、
**“誰がやっても同じ品質が出る”**状態にする。

 

● ② サイクルタイムの短縮

試作では重視しない「1ショットあたり何秒」が量産では命。
ここに時間を投資すると、数量が増えるほど利益が大きく変わります。

 

● ③ 品質保証体制

・規格測定の自動化

・管理寸法の明確化

・ロットトレーサビリティ
 など、量産では品質の“波”をなくす仕組みづくりが欠かせません。

 

■ 4. 試作と量産の橋渡し「プリ量産」

おすすめなのは、**10〜50個程度の“プリ量産”**を挟むやり方です。

 

● プリ量産のメリット

工程の再現性確認

チョコ停や寸法バラつきの洗い出し

表面処理・組立側のフィードバックが得られる

量産時の不良率予測ができる

試作と量産の間に“小さな本番”を作ることで、量産開始後のトラブルを大幅に減らせます。

 

■ 5. 当社が大切にしているスタンス

精密加工メーカーとして、私たちが特に意識しているのは以下の点です。

 

・試作はスピードと柔軟性を最優先

・量産は安定性と再現性が命

・試作段階から量産コストを意識した提案を行う

・顧客の困りごとを把握し、課題を一緒に解決する

・図面・工程・品質の見える化を進め、判断しやすくする

 

技術はもちろん大事ですが、それ以上に
「試作段階から量産まで伴走する姿勢」
が信頼につながると感じています。

 

■ 6. まとめ:試作は未来の量産を成功させる“投資”

試作は、単なる1品ものではありません。

その部品が

・1,000個

・10,000個

・100,000個
と作られていく未来の“第一歩”です。

 

だからこそ、試作段階での丁寧なコミュニケーションとコスト意識、そして量産に向けた工程設計が、メーカーとしての力量を問われる部分。

これからも、試作〜量産を一貫してサポートできる企業として、ものづくりの現場に貢献していきたいと思います。

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